2001 年 43 巻 4 号 p. 839-846
内視鏡治療にて止血し得た出血性vascular ectasia(VE)の2例を経験した.症例1は40歳女性,僧帽弁閉鎖不全(grade III)によるうっ血性心不全と鉄欠乏性貧血にて近医加療中,全身倦怠感を主訴に入院.著明な貧血を認め,内視鏡検査にて十二指腸下行脚に出血性VEを認め金属クリップ(オリンパス社製MD-59)を用いて止血した.症例2は68歳男性,C型肝硬変のため外来通院中,貧血と全身倦怠感精査のため入院.内視鏡検査にて胃体上部大彎前壁に出血性VEを認め,99.5%エタノール局注にて止血した.2例とも2年間に再発は認めていない.