2003 年 45 巻 2 号 p. 157-161
症例は68歳,女性.46歳時子宮頚癌(StageIIb)にて,広汎子宮全的術及び骨盤部放射線治療を受けている.放射線照射後22年経過した後,腹痛及び腹部膨満感を主訴に当科受診,イレウスの診断にて入院となった.保存的治療によりイレウスは軽快したため下部消化管内視鏡検査を行ったところ,回腸末端に粘膜浮腫像・毛細血管の拡張/蛇行を認めた.逆行性小腸ガストロ造影にて,回腸末端部の狭窄・辺縁鋸歯状影を認め放射線回腸炎と診断した.手術を勧めたが同意を得られず,外来にて経過観察を行っていたところ,強い腹痛を自覚し再入院となった.穿孔性腹膜炎の診断にて緊急手術を施行したところ,回腸末端に腸重積と穿孔が認められた.放射線回腸炎の経過中に腸重積を合併して穿孔をきたした領めて稀な症例と考えられた.