日本消化器内視鏡学会雑誌
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胃潰瘍部粘膜の好中球由来活性酸素産生量に与えるヘリコバクターピロリ除菌の影響一内視鏡的潰瘍ステージと活性酸素産生量との相関
鈴木 雅之三原 裕嗣鈴木 秀和北洞 哲治永橋 正一正岡 建洋田中 伸鈴木 紘一石井 裕正日比 紀文
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2005 年 47 巻 3 号 p. 366-372

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抄録
 【背景・目的】胃潰瘍部および背景粘膜の炎症強度を定量化し,ヘリコバクターピロリ(HP)除菌による影響及び潰瘍再発時における炎症の役割を潰瘍瘢痕ステージとHP感染の観点から検討した. 【方法】HP陽性胃潰瘍患者39症例において,HP除菌前後に上部消化管内視鏡検査を行い胃粘膜組織を採取した.炎症強度は好中球由来活性酸素産生量を化学発光法(ChL)により定量した. 【結果】前庭部および体部ChL値は除菌3カ月後に有意に低下し,9カ月後にはさらに低下した.一方,潰瘍部ChL値は3カ月後では低下したものの,以降変化は見られなかった.除菌前の活動1生潰瘍では瘢痕期に比しChL値は高値であった.瘢痕部ChL値も除菌3カ月後に低下したが,赤色瘢痕は白色瘢痕に比して有意に高かった. 【結語】HP除菌により胃潰瘍部粘膜の炎症強度は低下した.この変化が潰瘍の再発抑止に直接関与していると考えられた.さらに,除菌後なお赤色瘢痕を示している潰瘍は炎症が持続しており不完全治癒状態と考えられた.
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