2005 年 47 巻 5 号 p. 1090-1095
症例は77歳の男性.脊髄損傷で入院中に下血を認め,内視鏡検査を施行したところ胃角部から体中部小彎に及ぶ巨大潰瘍を認め,潰瘍底に動脈性拍動のある露出血管を伴っていた.血管造影では左胃動脈末梢に動脈瘤の形成を認め,この一部が潰瘍底に露出していると診断した.そこでスポンゼルおよびマイクロコイルを用いて左胃動脈塞栓術を施行した.術後,再出血なく良好に経過している.本症例のように動脈瘤を合併した出血性胃潰瘍は非常に稀であり,貴重な症例と考えられた.