抄録
【目的】Endoscopic Submucosal Dissection (ESD)時における酢酸併用拡大内視鏡(酢酸法)の側方断端陽性回避に対する有用性を検討する.【対象・方法】対象は53病変.ESDの際,色素内視鏡観察下でマーキング後に酢酸法を行い,マーキングと境界の位置を確認した.さらに,内視鏡像と病理組織所見を比較することにより,酢酸法による側方進展診断の有用性を検討した.【結果】表面陥凹型病変の全病変で酢酸法での境界診断が可能であったが,隆起型病変では24%であった.酢酸法で境界明瞭な病変は,その境界は病理組織での境界と一致していた.【結語】酢酸法を併用したESDは,早期癌と腺腫,特に表面陥凹型病変の側方進展の詳細が観察でき,断端陽性回避に大変有用であると推測された.