抄録
症例は55歳既婚男性.10年前に韓国旅行歴がある.人間ドックでの便潜血反応陽性にて精査目的で来院した.大腸内視鏡検査にて,上行結腸に正常粘膜に被覆され,透明感のある嚢胞性粘膜下腫瘍を認めた.内容液の穿刺吸引液を顕微鏡検査に提出したところ,ランブル鞭毛虫の栄養型が多数認められた.その後腹痛,下痢症状が出現し,検便でも栄養型虫体が検出された.メトロニダゾールによる治療を行い,便検査は陰性化した.しかし,内視鏡再検時に嚢胞の大きさに変化がないため開窓目的に一部を切除すると,再び下痢症状が出現し検便検査も再び陽性となった.再治療を行い,症状は軽快し検便検査は陰性化し,その後再発していない。 検索した範囲では,ランブル鞭毛虫が大腸粘膜下に本例のような存在形態を示したとの報告はなく,本疾患の自然史を考える上でも有益と考え報告する.