抄録
症例は50歳男性.20歳頃から痔の手術を繰り返しており,30歳で小腸型Crohn病と診断された.直腸狭窄のため48歳時S状結腸双孔式人工肛門造設術,49歳時穿孔と出血のため回腸部分切除術を受けた.肛門痛が続くため精査すると,下部直腸から肛門にかけ狭窄があり生検で中分化型腺癌であった.CT及びMRIで同部に7.5cm大の境界不明瞭な腫瘤を認め,stage IIIaの直腸癌と診断し,化学放射線療法後に骨盤内臓全摘術を施行した.術後病理所見で周辺臓器への浸潤と切除断端に癌を認め,術後2カ月で腸閉塞をきたし死亡した.