日本外科感染症学会雑誌
Online ISSN : 2434-0103
Print ISSN : 1349-5755
原著
腹部感染症に対する PMX-DHP長時間施行の安全性の検討
山下 千鶴森山 和広長谷川 大祐原 嘉孝西田 修
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2018 年 15 巻 3 号 p. 216-220

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抄録

【背景】PMX-DHPは腹部感染症に起因する敗血症性ショックを中心に広く用いられ,長時間施行も報告されるようになったがその有用性に対する結論は出ていない。【方法】腹部感染症に起因する敗血症に対して,病態改善が得られるまで 2時間を超えて PMX-DHPを継続した症例を対象とした。PMX-DHP長時間施行の安全性と臨床経過を後方視的に検討した。【結果】2時間の PMX-DHPで効果不十分な 22例に 14.8 ± 8.0時間の PMX-DHPを行い,72.7%の28日生存率を得た。PMX-DHP長時間施行は出血症状,高カリウム血症などの重篤な有害事象は認められず,安全に施行可能であった。また,PMX-DHP長時間施行では循環動態および肺酸素化能改善効果が認められたが,本検討は比較群を持たないため,PMX-DHPの効果かどうかは不明であった。【結語】腹部感染症に起因する敗血症性ショック患者に対する PMX-DHP長時間施行は,安全に施行可能であると考えられる。有用性については,今後,多施設での 2時間施行と長時間施行との前向き比較試験で評価する予定である。

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© 2018, 一般社団法人 日本外科感染症学会
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