日本外科感染症学会雑誌
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食道癌手術における術前治療と術後感染性合併症との関連
坊岡 英祐江川 智久川久保 博文竹内 裕也北川 雄光
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2019 年 16 巻 2 号 p. 133-135

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抄録

食道癌に対する食道切除術は他の消化器外科手術と比較し侵襲度が高く,合併症の多い手術である。また食道癌の悪性度の高さから手術療法の限界が議論され,JCOG9907試験の結果から我が国において臨床病期Ⅱ期およびⅢ期胸部食道癌に対する標準治療は術前化学療法(CDDP+5-FU)+手術となった。食道癌術後感染性合併症は長期予後を悪化させる報告が散見され,メタ解析でも食道癌術後合併症が長期予後を悪化させることが報告されている。JCOG9907試験では術前化学療法群と術後化学療法群では術後合併症の発生率に有意差は認めないが,術前化学療法群のみで術後感染性合併症が長期予後を悪化させることが報告されている。食道癌術前化学療法は術後合併症を有意に増加させることはないが,一度合併症が起こると重大な合併症となり長期予後を有意に悪化させることが示唆された。

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© 2019, 一般社団法人 日本外科感染症学会
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