日本外科感染症学会雑誌
Online ISSN : 2434-0103
Print ISSN : 1349-5755
原著
術後感染予防抗菌薬の適正使用に向けた病棟薬剤師による電子カルテを用いた処方提案の効果
熊谷 康平畑 裕基村津 圭治畑 啓昭
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2020 年 17 巻 4 号 p. 167-171

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抄録

2016年に発刊された「術後感染予防抗菌薬適正使用のための実践ガイドライン」において,手術部位別の予防抗菌薬の適応や,患者特性に応じた術中投与間隔および1回投与量などが勧告されている。当院外科においては,クリニカルパスによりガイドラインに従った予防抗菌薬が設定されていたが,腎機能や体重に応じた用法用量の調整は主治医に委ねられていた。2018年1月より,予防抗菌薬の適正使用割合向上のため,病棟薬剤師が電子カルテ上で主治医・手術室看護師に処方提案を行う介入を開始した。予防抗菌薬適正使用割合は介入前/後で,全群:62.0%/87.4%(P<0.001),腎機能低下群:34.0%/86.3%(P<0.001),過体重群:20%/92.3%(P=0.001)と有意に改善が認められた。病棟薬剤師の介入により予防抗菌薬の投与間隔および投与量の適正割合が向上することが示され,取り組みを継続することで,手術部位感染発症割合の減少や抗菌薬による有害事象防止につながる可能性があると考える。

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© 2020, 一般社団法人 日本外科感染症学会
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