2020 年 17 巻 4 号 p. 172-177
当院ではASPとして「早期モニタリングとフィードバック」と「条件付き届出制」を採用している。今回外科感染症診療への有効性を菌血症全体と外科感染症の原因菌として頻度が高いBacteroidesを対象に評価を行った。その結果血液培養2セット率は上昇し,菌血症の院内死亡率は有意に改善した(34.9%→23.1%:P=0.04)。Bacteroides菌血症においてはAST活動により,経験的治療におけるカルバペネム系薬の使用頻度の減少,TAZ/PIPCの増加がみられた。また,標的治療におけるde─escalation率が上昇した(9.7%→34.8%:P=0.04)。感受性には明らかな変化はみられなかった。菌血症の予後は改善傾向であった。以上より当院でのAST活動は外科感染症診療において有効であることが示された。