日本外科感染症学会雑誌
Online ISSN : 2434-0103
Print ISSN : 1349-5755
総説
サルコペニアと周術期感染性合併症:現状と今後の展望
海道 利実
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 18 巻 2 号 p. 290-297

詳細
抄録

進行性および全身性の骨格筋量減少と筋力の低下を特徴とする症候群であるサルコペニアは,その成因によって加齢による一次性サルコペニアと活動性の低下や低栄養,臓器不全や手術侵襲,腫瘍などの疾患による二次性サルコペニアに分けられる。高齢化社会を迎えた今日,外科手術患者も高齢化しており,一次性サルコペニア患者が増加している。さらに,外科手術患者においては担癌状態であることが多く,経口摂取不良による術前低栄養や手術侵襲を伴うため,多くが二次性サルコペニアを有する。したがって,サルコペニアは外科診療においても重要な意義を有する。実際,術前サルコペニアや体組成異常患者は,術後感染性合併症発症率が高い。そこで,術前サルコペニア評価や栄養状態評価に基づく適切な周術期リハビリテーション・栄養介入が手術成績向上のブレークスルーとなるであろう。

著者関連情報
© 2021, 一般社団法人 日本外科感染症学会
前の記事 次の記事
feedback
Top