日本外科感染症学会雑誌
Online ISSN : 2434-0103
Print ISSN : 1349-5755
総説
高齢者消化器外科におけるサルコペニアと周術期感染症
北川 雄一川端 康二藤城 健金子 博和鈴木 優美小林 真一郎
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2021 年 18 巻 2 号 p. 322-327

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抄録

サルコペニアは,1989年にRosenbergによって提唱され,2010年にヨーロッパのワーキング・グループ(European Working Group on Sarcopenia in Older People(EWGSOP))により定義された。日本人でサルコペニアを診断する場合,Asian Working Group for Sarcopenia(以下,AWGS)による定義である,AWGS2019が,最新のものである。サルコペニア症例の,術後短期予後が悪化するとの報告は少なくないが,高齢者消化器外科手術における感染性合併症に限ると,大腸癌や膵頭十二指腸切除での関連性の報告がある。高齢者に限定しない場合や,骨格筋量の低下を指標とすると,感染性合併症との関係を報告している論文は散見される。われわれの,高齢者消化器外科手術の予備的検討では,サルコペニアと術後感染性合併症には関係を認めなかった。

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© 2021, 一般社団法人 日本外科感染症学会
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