2022 年 19 巻 2-3 号 p. 355-363
術後肺炎は,生命予後に大きな影響を及ぼす.手術の前後に口腔ケアを行うことで,肺炎のような口腔とは関係のない臓器の疾患の予防につながることが示され,注目されている.兵庫医科大学病院では口腔ケアだけでなく,オーラルマネジメント(OM)として取り組んでいる.OMとは、口腔ケアだけでなく歯科治療や患者や医療スタッフへの教育を重視したものである。歯科治療として、術前に動揺歯の抜歯や固定を行っておき、術後の口腔ケアを実施しやすいよう口腔環境を整備しておく。また、口腔ケアの際に発生する咽頭の汚染物の回収方法や保湿を看護師に教育するなど、包括的に取り組むことで、口腔ケアよりも術後肺炎の予防効果を高めることができる.