2024 年 20 巻 5-6 号 p. 519-526
【目的】オラネキシジングルコン酸(olanexidine gluconate:以下,OLG)とポビドンヨード(povidone-iodine:以下,PVI)による皮膚消毒後の表層切開創の手術部位感染(surgical site infection:以下,SSI)予防効果を後ろ向きに比較した。【方法】2018年10月から2023年3月までに当科で開腹肝切除,または膵切除の予定手術を受けた患者を対象とした。2020年12月以前は全例にPVIを使用し(PVI群),2021年1月よりOLGを導入し,以後全例に使用した(OLG群)。SSIの有無はCDCガイドラインに沿って診断し,患者の術前データや周術期データも評価した。【結果】PVI群166例,OLG群133例における表層切開創SSIの発生率はそれぞれ5例(3.0%)と3例(2.3%)(P=0.74)で有意差を認めなかった。【結論】PVIとOLGで表層切開創SSIの発生率に差はなく,患者や施設の状況,および医療コストを考慮して使い分けても良いと考えられた。