日本プライマリ・ケア連合学会誌
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ISSN-L : 2185-2928
原著(症例報告)
インスリン抵抗性を背景としステロイド治療と糖質過剰摂取が誘因となり発症した続発性低カリウム血症性周期性四肢麻痺の1例
小田井 剛牛腸 直樹丸 智美和氣 花奈美日比野 壮功小林 俊幸田所 浩
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2016 年 39 巻 4 号 p. 234-237

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抄録

症例は31歳男性で, 過去に脱力発作や特記すべき既往なし.入院当日, 咽頭痛を訴え近医耳鼻科を受診し, ヒドロコルチゾン静脈投与を受け帰宅した.帰宅後, 自宅にて米飯3杯, イカ・豚の生姜焼き, 漬物を摂食した.摂食3時間後, 四肢脱力・起立困難, 動悸を認め救急要請し当院搬送となった.来院時, 血清カリウム2.1mEq/L, 血清インスリン201.9µU/mLであった.カリウム製剤, スピロノラクトン投与にて, 第2病日には血清カリウム値や四肢脱力は改善した.75g糖負荷試験において, 120分に頂値を示すインスリン過剰分泌反応, 180分に反応性低血糖を呈し, またHOMA-R:2.69であった.周期性四肢麻痺の家族歴を有さず, インスリン抵抗性を背景にもちステロイド投与や糖質過剰摂取がインスリン過剰分泌反応を惹起し続発性低カリウム性周期性四肢麻痺を発症した一例を経験した.インスリン抵抗性や糖尿病を有する患者は数多くおり教訓的で示唆に富んだ症例と考えられ報告する.

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© 2016 一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
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