2021 年 44 巻 4 号 p. 141-146
目的:餅による食餌性小腸閉塞は近年では保存的に治療し得た症例の報告が増加している.しかし,保存的治療の経過や手術を要する症例の特徴は明らかでない.本研究の目的は餅による小腸閉塞の臨床的特徴と,手術を必要とする症例の特徴を明らかにすることである.
方法:単施設7年間で後ろ向きに,腸閉塞の原因が餅と特定された症例を収集した.先行文献から得られた症例とともに考察した.
結果:自験例9例と既報67例を収集し,56例(73.7%)が保存的治療で治癒していた.餅の摂取から発症までの期間は1.7±0.3日,腸管内に描出された餅のCT値は160.0±8.9 Hounsfield Unit(HU)だった.餅による腸管穿孔6例のうち5例で長径4 cm以上の餅片が認められた.
結論:餅による食餌性小腸閉塞の多くは保存的治療で軽快するがCTで長径4 cm以上の餅片を腸管内に認めた場合は,腸管穿孔のリスクが高いかもしれない.