症例は29歳,妊娠13週の経産婦.臍下部痛を主訴に外来受診した.発熱はなく,臍下部の圧痛と打診痛を認め,かかと落とし試験およびPsoas徴候が陽性であった.腹部超音波検査で虫垂腫大を疑い,単純MRIで内側に偏位し腫大した虫垂を確認し,急性虫垂炎と診断した.単純性虫垂炎と判断し,手術治療として虫垂切除術を施行した.母児ともに良好な経過を得た.
妊娠中の虫垂位置および疼痛局在は多様であり,非典型的な腹痛であっても,病歴と身体所見に基づき虫垂炎を疑うことが重要である.臨床像が非典型となりうるため画像診断が鍵となり,妊娠初期から中期では超音波検査を第一選択とし,迅速に利用可能な状況ではMRIも有効な手段となる.