言語研究
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Print ISSN : 0024-3914
特集 言語対照の現在
マヤ語VOS語順への2つの道筋――カクチケル語からの考察――
大滝 宏一杉崎 鉱司遊佐 典昭小泉 政利
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2019 年 156 巻 p. 25-45

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抄録

マヤ諸語におけるVOS語順の派生に関して,これまで主に二つの分析が提案されている。一つは,主語が占める指定部の位置が主要部よりも右側に現れるとする「右方指定部分析」であり,もう一つは,vP全体が主語を越えて前置されるとする「述語前置分析」である。本稿では,チョル語とカクチケル語という二つのマヤ系言語を比較・分析することによって,少なくともカクチケル語のVOS語順に関しては「右方指定部分析」の方が妥当であることを示す。また,「右方指定部分析」をチョル語のVOS語順にも拡張する可能性に関しても議論する。

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© 日本言語学会, 著者
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