抄録
新型コロナウイルス感染症の大流行とともに、ワクチンが開発され、各国がワクチン取得に向けて奔走した。ワクチン格差が指摘される一方で、各国や国際的枠組みを活用してワクチン寄付が行われた。 本稿では、ワクチンを通じた外交や地政学的影響が先行研究では論じられる中で、これまで行われてこなかった計量分析(クラスター分析およびGISを含む)を軸にアジアの視点から分析を試みる。 UNICEFのCOVID-19ワクチン寄付データを用い、アジア地域のワクチン寄付を受領国側、アジア域内供与国としての寄付状況、アジア地域内で影響力のある日米中印の寄付状況から分析を行っている。受領国での分析では、ミャンマーやカンボジアなど中国とのつながりが強くみられた国、政治・経済状況が背景にみられた。アジア地域内供与国としての分析では、中国が最も多くアジア地域の寄付を行っているが、2番目に多く寄付しているカンボジアでさえ近隣国に対する支援を行っていた。また、日米中印というアジア地域に影響のある4か国で比較したところ、寄付国・地域・方法でそれぞれ特徴が異なっていた。