2026 年 67 巻 2 号 p. 158-164
チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)は慢性骨髄性白血病(CML)の予後を著しく改善したが,生涯にわたる内服は晩期の血管事象や経済的毒性といった課題を伴う。このため,TKIを安全に中止し寛解を維持する無治療寛解(treatment-free remission, TFR)は,患者のQoLを改善する重要な治療ゴールとして位置づけられている。国内外の多くの臨床試験によりTFRの安全性と有効性が確立されており,大規模観察研究J-SKIの中間解析では5年TFR率65.2%と良好で,TKI中止前の深い分子遺伝学的寛解(DMR)の期間が成功の鍵であることが示された。課題としては,TKI離脱症候群や,2回目のTFRの挑戦,ごく稀な急性転化リスクが挙げられる。今後,新規薬剤を用いてより多くの患者がDMRを達成し,TFRに挑戦できる機会を増やすことが期待される。