日本地球化学会年会要旨集
2003年度日本地球化学会第50回年会講演要旨集
セッションID: 1P18
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陸水
バングラデシュ中央部における地下水水質の季節変動
*小林 滋益田 晴恵西垣 誠
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抄録

 バングラデシュでは国内の約3分の2にわたる地域で、WHOの飲料基準を超えるヒ素(0.01mg/L)が地下水中に含まれ、深刻な問題となっている。演者らはヒ素汚染の機構を解明すべく、ダッカから南西約50kmに位置するゴウリプール村周辺地域(約2km四方)で、2001年より乾季・雨期ごとに地質試料・地下水試料の採取と分析を行っている。本報告ではこの調査のうち、主に地下水の水質について報告する。
 ○調査地域の人口と地下水:本調査地域は3つの村からなり、人口は聞き取りによると数千人。生活用水はTube wellを利用し、Dug wellは利用していない。正確な記録はないものの、地域内のほとんどのShallow Tube Well(下記参照)は、WHO旧基準(0.05mg/L)を超えている。しかしヒ素による被害患者は発生していないと思われる。 ○調査地域の地質と帯水層:調査地は地形区分上、ブラマプトラ川氾濫源堆積地域に分類される沖積低地である。雨季には低地が冠水するため、住民は自然堤防上に居を構え、生活水源の井戸もこれらの上に位置する。ボーリング調査で確認している帯水層は、おおむね10から30mの上部帯水層と、70から120m程度(基底深度は不明)の下部帯水層の2層である。これらの帯水層は、いずれも沖積層の細粒砂を主体とする地層である。地域住民は上部帯水層にスクリーンのある井戸をShallow Tube Well、下部帯水層にスクリーンのある井戸をDeep Tube Wellと区分し、呼んでいる。両者の数的割合は約3:1でShallow Tube Wellの方が多いが、飲用人口割合は約半数程度と思われる。
 ○調査対象井戸:井戸は各戸に設置(Household well)されている。調査は実際に生活用に供されている井戸を対象とし、調査地内の自然堤防全域を網羅でき、かつ両帯水層ともに調査の対象となるよう約40箇所を選定し、季節ごとの水質分析を行った。また両帯水層に観測井を各1カ所設置し、同様に分析を行った。

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© 2003 日本地球化学会
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