抄録
南ウェールズのニース運河の上流域から堆積物のコアを採取し,重金属汚染物質への影響を明らかにするために,鉱物構成と鉄の種類の特徴を明らかにした。X線回折法(XRD)とメスバウアー分光法により,堆積物コアの垂直方向での鉱物と鉄の種類の変化が明らかとなった。赤茶色の上部層は湿った粘土状沈殿物で,非常に細粒の鉄の酸化物と水酸化物を主に含んでいた。22_から_27cmの中部層は,黄色の柔らかい堆積物で,層状珪酸塩鉱物,方解石及びゲーサイトを含んでいた。27cmより下部層は,灰_から_暗灰色で,石英,黄鉄鉱及び石炭粒子含んでいた。砒素と亜鉛は三価鉄の卓越する上部及び中部層で多く,つまり,砒素と亜鉛の吸着は鉄の酸化物表面で主に起きている。銅とニッケルは黄鉄鉱を伴う下部層に多い。銅とニッケルの黄鉄鉱との共生がおそらく主な原因である。