抄録
水中堆積物に一連の酸処理を行い,57Feメスバウアー分光法により湖底堆積物中の黄鉄鉱の定量分析を行う手法が発展している。まずアルカリ溶液(0.1N NaOH)で試料の水洗を行い、その後,残った試料を塩酸,フッ酸及び65℃の塩酸で順に処理した。この手順で得られた残留物から,57Feメスバウアー分光法により黄鉄鉱が豊富に確認された。この方法は,西南中国耳海湖堆積物のコア試料中の黄鉄鉱を測定する為に利用された。堆積物中の有機物に関係する黄鉄鉱の垂直分布,鉄の還元種及び他の酸化還元に敏感な元素種は,堆積物中の環境変化及び耳海湖の初期の続成作用を示している。