抄録
東京都多摩川及び大分県八坂川河口域の新しい堆積物中のRe-Os濃度、Os同位体組成が得られた。多摩川の試料は,顕著な高い或いは低いOs濃度の2つグループあるが,187Os/188Os比は同じであり,人間活動による同じ起源・影響によるものであることを意味している。Os濃度が25cm付近の深さから急激に増加しており,還元環境下でのOsの濃縮を示唆している。八坂川河口域堆積物の試料では,明らかにOs濃度及び187Os/188Os 比が異なる2つのグループがある。ある試料は高いOs濃度と低い187Os/188Os 比を持ち,別の試料は低いOs濃度と相対的に高い187Os/188Os比をもつ。これは異なる源から八坂川河口域堆積物にOsが供給されていることを示している。しかし,187Os/188Os比が多摩川よりも八坂川河口域堆積物中で相対的により高いことは,多摩川に比べて八坂川で人間活動による汚染がより少ないことを示唆しているであろう。