抄録
熱水プルームには、周辺海水に比べ、数倍から数百倍高濃度のメタン、還元型硫黄成分、還元型金属元素などが含まれる。同様に微生物数も、数倍から数十倍増加し、深海における物質循環過程に大きな役割を果たしていると考えられている。これまでに、培養法などを通じ、熱水プルームから硫黄酸化微生物やメタン酸化微生物などが検出されているが、これらの手法は定量性に乏しく、化学要因との比較や物質循環への影響を明らかにすることができなかった。我々は水曜海山を対象として、16S rRNAを標的とした系統解析およびFISH法を用いた細胞定量解析を通じ、熱水プルーム中微生物群集組成の質的および量的解明に成功し、プルーム中のBacteriaのほとんどがSUP05とSUP01からなることを明らかにした。これらの微生物は蛍光プローブで強く染色されていたことから、比較的高い活性を有すると推測された。