低分子ジカルボン酸はエアロゾルを構成する主要有機成分として陸上・海洋・極域大気中に広く分布する。それらは極性が高いことから、凝結核として雲の形成に関与し大気の放射強制力の変動に関わると考えられている。また、地球上の水循環にも関係する可能性が指摘されている。本研究では、GC/IRMSによる低分子ジカルボン酸の炭素安定同位体比(δ13C)の測定法を用いて海洋大気中に存在するジカルボン酸のδ13Cを測定した。沿岸域から外洋域にかけて、同位体比は重くなる傾向を示し、赤道域太平洋では最大で+13‰という値を示した。発表では、ジカルボン酸の安定同位体比の太平洋における空間分布を示し、その特徴を光化学的変質との関係で解析する。