ヒドロキシル(OH)ラジカルは大気気相中における最も強い酸化剤であり、様々な化学反応に関わっていることが知られている。OHラジカルは、大気液相(エアロゾル、雲、雨、霧)中においても重要な役割を果たしていると考えられるが、その生成消失機構についての知見は十分であるとはいえない。筆者らはこれまでに大気エアロゾル抽出水中におけるOHラジカルの生成量および生成機構に関する研究を行い、光フェントン反応および硝酸、亜硝酸の光化学反応が重要な生成機構であることを見出した。今回、これら以外の生成源として、溶存有機物からの生成が示唆された。講演では、その結果に加えてOHラジカル消失過程と溶存有機物の関係についても発表する。