抄録
海底堆積物中の錘_は、発酵や化学合成によって生成される最終生成物であるとともに、メタン生成や硫 酸還元の主要な基質であり、嫌気環境下での微生物の代謝活動の媒介物として重要な役割を果たしている。 錘_の安定同位体比は海底下での錘_の起源、挙動を知る上で重要な指標になると期待されるが、海底下浅 部では微生物によりすぐに消費されてしまうため、その濃度は数μMと低く、分析には大量の試料と煩雑な 手間が必要であった。このため海底堆積物中の錘_の挙動の詳細についてはほとんど明らかになっていない。 本研究では、近年開発された液体クロマトグラフ直結の質量分析システムによる微量低級脂肪酸の炭素同 位体分析法(Heuer et al., 2006)を改良し、海底堆積物間隙水中の錘_の炭素同位体比分析を試みた。