抄録
高レベル放射性廃棄物(HLW)の地層処分においては、HLWを人間の生存環境から数万年以上隔離することを想定しており、地質環境においてHLWに含まれる放射性元素の長期的な移行挙動を理解する必要がある。そこで本研究では、様々な地球化学的環境の履歴を示す岩石試料のうち、花崗岩に焦点を当てて、元素の存在状態を明らかにし、地球化学的環境の変化に伴った元素の挙動について考察した。今回用いた岩石試料は、化学的風下や熱水などによって変質した部分で、U、Th、ランタノイド元素を中心に分析を行った。これら元素はHLWに含まれるマイナーアクチノイドと類似した性質を示し、アナログ元素として選定できる。