抄録
初期原生代ラテライト形成時の岩石―水相互作用における流体の起源を制約すべく、ボツワナ陸上掘削試料中の珪酸塩・鉄酸化物の酸素同位体組成の分析を行った。深度に対して同期して変化する酸素と鉄の同位体組成は、ラテライト形成反応を反映したものであると考えられる。測定結果と、温度依存の赤鉄鉱―水の酸素同位体分別から推定したラテライト形成流体のδ18O値は、初期原生代の鉄鉱石の赤鉄鉱のδ18O値から推定した同時代の天水のδ18O値のレンジと重なり、現代の低緯度域の亜熱帯環境での雨のδ18O値に対応する。以上の結果から、約22億年前のラテライト形成は、雨期・乾期がある亜熱帯域での微生物が絡む風化作用により鉄が溶脱を繰り返す現代のラテライト形成と本質的には同じで、天水が重要な役割を果たしたことを示唆する。約22億年前の地球表層環境においては、大気圏―水圏―地圏システムが現代のものと本質的に同様であった可能性も考えられる。