2003 年 6 巻 4 号 p. 392-397
妊娠中毒症の合併がなかった産褥婦に,皮質盲と痙攣が発症した1例を経験した。症例は32歳,女性。帝王切開後4日目に突然盲目と痙攣発作を発症した。対症療法により盲目と痙攣は軽快し,一過性であった。また頭部CT上で,ほぼ同時期に低吸収を後頭葉に認めたが,まもなくこの所見も消失し,一過性であった。以上より盲目は一過性の皮質盲と考えられた。皮質盲の原因は多々あるが,痙攣を発症した妊産婦に合併する盲目は子癇による皮質盲がまず考えられる。この盲目は一過性と考えられ,対症療法を行いつつ視力の回復を期待してよいと思われた。