熱水鉱床には鉱床タイプ毎に、特定のメタル元素のみが濃集する傾向が顕著である。とくに斑岩型鉱床はCu、Au、Mo等の主要な資源となっているが、その他のベースメタル(Pb、Zn等)は殆ど伴われていない。この原因にメタルの揮発性が強く関与していると考え、メタルの気/液分配実験を行った。気相と液相の共存下で流体包有物を合成し、流体包有物中に取り込まれた溶液を分析することにより共存する液相および気相の組成を求めた。流体包有物の分析は放射光蛍光X線法によって単一流体包有物中に取り込まれた、気相および液相中のCuおよびZn濃度を定量分析することにより求めた。その結果、硫黄が存在するとCuの分配係数が1.0を越えることが明らかとなった。