抄録
これまで,有機化合物やその安定同位体比を用いた様々な指標が提案され,地球化学の様々な課題に対して多くの知見を提供している。近年,生理学的な基本原理をよく理解して,そのしくみを利用した新規指標の開発(または,従来の指標の大幅な改善)が行われるようになりつつある。生物は,体内の生理活性を非常に上手くコントロールし,その調整には様々な特性の有機化合物が密接に関係している。また生物による有機化合物の生合成・代謝は,ほとんどの場合,安定同位体組成の変化を伴い,その大きさは反応の進み具合と密接な関係を持つ。すなわち,我々が知りたい生物地球化学的情報にダイレクトに関わる生理活性を見出し,それに関係する有機化合物,または安定同位体比の変化を環境試料から明確にとらえることができれば,それが優れた指標となる可能性が高い。発表では、生理学的な知見を利用する新指標のアイデア・基本原理とその実例を紹介する。