日本地球化学会年会要旨集
2009年度日本地球化学会第56回年会講演要旨集
セッションID: 1B08 12-08
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古気候・古環境解析の地球化学
メコンデルタ沖のサンゴ骨格に見られるBa/Ca比の季節変動とその要因
*三ツ口 丈裕ダン フォン北川 浩之柴田 康行
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キーワード: サンゴ, 年輪, Ba/Ca, 蛍光, メコン川
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抄録
メコンデルタから約90 km沖に位置するコンダオ島からサンゴコア試料を採取した。この試料のX線写真および長波長UV写真には1948年~1999年の年輪が見られた。長波長UV写真で見られた年輪は蛍光バンドと呼ばれるものであり,蛍光の原因として (1) サンゴ骨格に取り込まれた陸源有機物や (2) サンゴ骨格の孔隙が考えられる。この試料のBa/Ca, Sr/Ca, Mg/Caを約1ヶ月の時間分解能で測定した。Ba/Caの変動はコンダオ島の塩分変動と強い逆相関を示した。コンダオ島周辺の塩分の第一支配要因はメコン川からの淡水流出であると考えられる。また,河川流出によって沿岸海水のBa濃度が顕著に増加することは広く知られている。以上のことから,Ba/Caの変動はメコン川からのプルームを反映していると推測される。この推測は蛍光バンドとBa/Caデータの対比からも支持されている。すなわち,蛍光バンドはBa/Caの極大と同時発生であり,更に,Ba/Caの極大値と蛍光強度の間には正の相関が見られる。
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© 2009 日本地球化学会
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