日本地球化学会年会要旨集
2009年度日本地球化学会第56回年会講演要旨集
セッションID: 1B12 12-12
会議情報
古気候・古環境解析の地球化学
秋吉台長登の石筍に記録された酸性雨による古植生変化
*青木 雅美栗崎 弘輔園山 幸希冨田 麻井藤川 将之池田 善文岡本 透山田 努眞崎 美穂松田 博貴吉村 和久
著者情報
キーワード: 石筍, 酸性雨
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
山口県秋吉台長登銅山の銅は奈良の東大寺大仏建立の際に用いられたと伝えられている。鉱業活動初期には酸化帯、後には硫化帯の銅鉱石を利用したと推定されており、硫化帯の銅鉱石製錬による硫黄酸化物の発生により局地的に酸性降下物量が増大し、それに伴い植生変化が生じたと予測される。石筍は年縞を持つため絶対年代が決定可能であり、イオン交換平衡により共沈する硫酸イオン、マグネシウムイオン、ストロンチウムイオンの含量や、炭素安定同位体比から植生情報を抽出することができる。復元した滴下水中に含まれる硫酸イオン濃度の変動から硫化帯の銅鉱石製錬由来の人為的な局地的酸性雨の影響を読み取った。炭素安定同位体比、マグネシウムおよびストロンチウム濃度の変動からは酸性雨に伴う変化が読み取れた。これらの結果は現存する発掘資料や古文書などとも合致しており、石筍を用いることで連続的な過去の人為的環境変遷を復元することができた。
著者関連情報
© 2009 日本地球化学会
前の記事 次の記事
feedback
Top