抄録
Allende隕石中のGolfball typeB CAIは、岩石学的研究から、少なくとも2回の溶融イベントを経験していることがいわれている。本研究では、このCAIについて、溶融時期の異なるスピネル結晶及びメリライト結晶の酸素同位体組成とAl-Mg同位体組成を明らかにし、個々の液の形成時期とその酸素同位体組成の変化を評価することを試みた。スピネル結晶の酸素同位体組成は、deltaO-18で-50 から-40perimlに分布した。岩石学的特徴に対応してメリライト結晶の酸素同位体組成は、異なる分布を示し、ゲーレナイト成分に富むコア部は、deltaO-18で-20~-10permilに分布し、リム部で~0permilとなった。Al-Mg同位体組成も岩石学的特徴及び酸素同位体組成に対応して異なる2本のアイソクロンにそれぞれの結晶が分布し、コア部のゲーレナイト成分に富むメリライトは、26Al/27Al初生比で4.9±0.8 x 10-5、リム部のメリライトで1.9±1.2 x 10-5となり、その年代差は、約百万年となった。以上から、このCAIの形成過程について議論する。