抄録
Dhofar 1428 隕石は研究例の少ない月高地隕石の一つであり、隕石のタイプや全岩化学組成などの、岩石学的、地球化学的な特徴がはっきりしていない。そのため、今回の研究では、放射化分析によってDhofar 1428 の全岩化学組成を決定し、さらに薄片の観察を行ってクラストの組成を測ることによって、この隕石の岩石学的、地球化学的特徴を明らかにし、隕石を特徴づけることを目的とした。Dhofar 1428 隕石の化学組成からは、FANを主成分とすること、液相濃集元素にFAN以外の物質の混入の影響が見られることがわかり、薄片の観察において、KREEPy な岩石片が見つかったことから、この隕石がKREEPの影響ががあった地域を起源としていることが考えられる。