抄録
電力中央研究所では、放射起源の4He 濃度が滞留時間に伴って増加することを原理とした地下水年代測定法(4He 蓄積法)の研究開発を進めており、北海道幌延地域において地下水の希ガス分析を行っている。これまでの検討から、幌延地域の地下水には、岩石の化学組成から推測されるよりも大きな3He/4He のHe が蓄積しており、試料採取地点によって蓄積するHe の3He/4He が異なることが明らかとなっている。本研究では、岩石から地下水に供給されるHe の3He/4He を把握することを目的に、幌延地域に分布する稚内層硬質頁岩からHe を抽出し、3He/4He を測定した。その結果、稚内層の硬質頁岩に含まれるHe の3He/4He は、近傍の地下水の3He/4Heに比べて同程度か小さく、地下水には放射起源ではない3He/4He の大きなHe が混入している可能性があることが示された。さらに、硬質頁岩の3He/4Heは、鉛直方向には深部で、水平方向には南東側で大きくなる傾向が認められた。