抄録
植物プランクトンにおける残留性有機汚染物質(POPs)の生物濃縮は主にPOPsの疎水性(オクタノール-水分配係数, Kow)に支配されると考えられている。しかしながら、Kowの非常に大きい POPsについてはむしろ生物濃縮係数が小さくなるケースが多く報告されており、水圏生態系におけるPOPsの入口となる植物プランクトンへのPOPs濃縮過程について未だ謎が残されている。本研究では、(1) 植物プランクトンによるPOPsの吸着、(2)溶存有機炭素(DOC)へのPOPsの分配、の2つのプロセスについてモデル構築し、数理解析並びに数値シミュレーションを行った。その結果、Kowの高いPOPsについて分子サイズの増加に伴う細胞膜での取り込み阻害とDOCとの競合とを考慮することで観測結果と整合性のある生物濃縮の傾向を再現できることを明らかにした。