抄録
線吸収端微細構造法(XAFS)とは、X線を励起源とした吸収分光法の総称である。従来のXAFS測定では、主として「硬X線」と呼ばれる4 keVを超えるX線が利用されており、それよりも低エネルギー側に位置する「軟X線」の利用は、その実験的な困難さのために限定的であった。近年、大気圧環境下で軟X線が利用できる測定環境が普及し、さらには、軟X線検出技術の進展に伴って測定感度も大幅な向上を見せている。現在では、従来の様な基礎科学的研究に限定されず、材料研究分野を中心として軟X線を利用した軽元素の分析が広く普及しつつある。軽元素を対象としたXAFS法によってもたらされる情報は、環境化学・地球化学分野においても重要であると予想される。本講演では、軟X線吸収分光法の特徴ならびに測定手法の進展をSPring-8における研究事例を交えながら紹介し、環境化学・地球化学分野における軟X線XAFS研究の発展に対する一助としたい。