抄録
別府湾において採取した海底コアを分析することにより,過去1500年間の水温とイワシ存在量の復元を行い,気候変動と海洋生態系の関係を検討した.暗黒時代寒冷期および小氷期において水温が数10年スケールで激しく変動したが,中世温暖期には水温が高く安定していた.カタクチイワシとマイワシの鱗数は,中世温暖期で顕著に低く,海洋生態系がそれ以外の時代とは異なる様態にあったことが示唆される.小氷期以降の過去500年間では,低水温期にマイワシの鱗が多く,高水温期にカタクチイワシの鱗が多くなる傾向がある.これは,現在,北西太平洋域でみられるマイワシ・カタクチイワシの魚種交代と水温との間に見られる関係と同じである.