抄録
真珠を形成する二枚貝と巻貝を試料として,酸素同位体比および微量元素比を測定し,軟体動物殻の化学組成に影響を与える因子について検討を行う.また,炭酸塩殻のあられ石と方解石という結晶構造の違いによる影響について検討を行う.試料として,霞ヶ浦水系新利根川で養殖されあられ石殻を持つ淡水棲二枚貝イケチョウガイ(Hyriopsis sp.)・三重県英虞湾で養殖されている,方解石殻を持つ海水棲二枚貝アコヤガイ(Pinctada fucata martensii)・あられ石-方解石が混合した殻をもつ海水棲巻貝クロアワビ(Haliotis discus discus)・マダカアワビ(H. madaka)を用いた.