抄録
土壌吸収は大気水素の大きなシンクであるが、土壌では水素の分解だけでなく生成も同時進行している可能性があるため、濃度の観測だけでは複雑な水素の挙動を把握することは難しかった。そこで本研究では濃度と同時に安定水素同位体比指標を観測し、土壌による水素の生成・分解過程について調べた。観測は北海道大学構内の農場においてチャンバー実験を行った。その結果、全ての実験において正味の吸収が観測された。求めた吸収速度は文献値と同程度の値であった。しかし数時間後のチャンバー内の水素濃度は数十ppbvであり、吸収が卓越するものの生成の寄与が予想された。同位体分別係数を求めたところ、森林土壌で得られた文献値と比較して矛盾のない結果であった。また、生成時の水素は大気水素に比べ非常にDに乏しいことが分かった。