日本地球化学会年会要旨集
2011年度日本地球化学会第58回年会講演要旨集
セッションID: 3P40
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セッション4 水ー鉱物界面の地球化学
水酸化鉄鉱物の相変化が ヒ素やアンチモンの環境挙動に与える影響
*村松 千尋光延 聖坂田 昌弘
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抄録
ヒ素(As)とアンチモン(Sb)は、工業的に大量に使用されているが、その有害性から環境汚染が問題視されている元素である。両元素は同族元素であり、その環境動態は類似していると考えられているが、両者を比較した知見は少なく、より詳細な研究が必要である。AsとSbは、酸化的水溶液中でオキソ陰イオンとして存在する。これまでの研究から、AsとSbは土壌や堆積物中で低結晶性の水酸化鉄鉱物(ferrihydrite)に取り込まれやすい事が報告されている。
このferrihydriteは自然界で見られる典型的な鉄鉱物の一つで、強い正電荷と大きな比表面積から、多くの陰イオンの吸着媒として作用している。また、準安定相であり、時間とともにgoethiteやhematiteのような結晶性鉄鉱物へ相変化するというユニークな性質を持つ。相変化とともに、結晶構造や表面積も変化するため、微量元素の挙動にも影響を与えることが予想される。
本研究では、ferrihydriteの相変化時中のAsとSbの化学状態をXAFS法で観察し、水相への溶出挙動と比較する事で、中長期的な水環境中でのAs, Sbの挙動を理解する事を目的とする。
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© 2011 日本地球化学会
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