抄録
我々のこれまでの研究により、1964~2000年の福岡大気降下物に天然とは異なる同位体比を有するウランが見出された。これは核実験により汚染された中国大陸の土壌粒子を含む風送塵に由来する可能性が高い。そこでモンゴルの表層土壌の化学組成を日本の大気降下物、ならびに広く黄砂粒子の起源と認識されている中国黄土高原の表層土及びタクラマカン砂漠の砂と比較し、異常ウラン同位体比を有するウランの起源としての可能性を検討した。モンゴル表層土壌を化学的に分解し、ウラン同位体比や化学組成を分析した。Mg-Ca-Feの三成分図からはモンゴル表層土壌は相対的にCaに乏しく、タクラマカン、黄土、福岡大気降下物とは区別された。また、モンゴルの表層土壌のHNO3抽出液、抽出残渣のウラン同位体比は共に天然比であった。その結果から2000年春の福岡大気降下物とモンゴル表層土壌との間には今のところ明瞭な相関は認められていない。