抄録
摂食・嚥下障害へのリハビリテーションは原因疾患に対応する急性期から実施することが望ましいと言われている.しかし,高齢者等を対象とした評価表はあるが,ICU患者を対象としたものはほとんどない.そこで本研究はICU患者を対象とした独自の摂食・嚥下機能評価表を作成し,その妥当性の検討を行ったので報告する.評価表は,院内に勤務する言語療法士2名とICUに勤務する看護師2名が検討を重ね,13問の質問と簡易検査法「改訂版水飲みテスト」を統合した評価表を作成した.至適基準を経口摂取後72時間の再評価と言語療法士の再評価として敏感度と特異度を求めた.結果,感度66.7%,特異度93.4% と高く,評価表の有用性が確認された.次に,評価表の精度を上げるため,偽陰性,偽陽性を呈した対象について詳細に検討したところ,挿管状況が特異度の決定に関連していることが示唆された.