抄録
海洋は大気DMSの主要な放出源であり、植物プランクトン生体内で作られるDMSPがDMSの主な前駆体物質といわれているが、DMSの生成・消失には様々な生物地球化学過程が関係するため極めて複雑であり、その包括的な理解には至っていない。生成・消失過程の理解は今後の地球環境変化に対する海洋から大気へのDMS放出量の変化の見積もりを行うためにも重要な課題である。我々はバブリング型気液平衡器とPTR-MSを組み合わせた溶存揮発性有機化合物の連続定量装置(EI-PTR-MS)を開発し、北太平洋高生物生産海域で高時空間分解能のDMS濃度分布を取得した。本研究ではDMSの濃度分布とpCO2の連続測定から計算される純群集生産との間に良い相関(r2 = 0.68、n = 279)があり、純群集生産が本研究海域のDMSの分布を決めるキーパラメータとなる可能性を見出した。