抄録
植物プランクトンは海洋における生産者であり、基礎生産量の評価は水産資源保全の観点から重要である。本研究では、海洋観測結果から最近10ヶ年の東シナ海におけるChl.Max(クロロフィル極大)水塊の分布について検証し、クロロフィル量から基礎生産の推定を目的とした。本研究では、2003年、2004年、2009~2011年の7月に行われた航海より得られた観測結果を使用した。これらの航海では、センサーによる観測データと、採水による試料データ(リン酸・ケイ酸・硝酸・亜硝酸・クロロフィルa)が得られている。蛍光光度センサーで得られたクロロフィルa濃度と、深度および面積から総クロロフィルa量を積算し、単位面積あたりのクロロフィルa量を算出した。本海域における亜表層以深も含む経年のクロロフィルa量(炭素換算量)を推定した。5ヶ年の炭素量が2.2~2.6kg/km2と変動が少ないことから、東シナ海外部陸棚域においては栄養塩が安定して供給されていることが示唆された。