抄録
大気エアロゾルには鉛などの有害物質が含まれているため場合もあるため人体に悪影響を及ぼす可能性がある。また、太陽光を吸収・散乱するため、地球の温暖・冷却化にも関与している。そこで、リアルタイムにエアロゾル一粒一粒の化学組成の計測が可能なレーザーイオン化単一粒子質量分析計を開発した。この装置では一つ一つのエアロゾルの粒子に高い強度のレーザー光を照射して、気化・イオン化させて、そのイオンを質量分離して成分を測定する。本装置を2010年3-5月の春季に長崎県福江島に設置して、季節風により中国大陸から東シナ海沿岸域に輸送される大気エアロゾルの地上観測を行い、鉛を含む粒子についての内部混合状態、輸送過程、発生源などについての知見を得た。